佐々木事務所の所長の佐々木正己(ささき・まさみ)です。Q: 株券を発行しない
株券不発行会社が発行した株式の売買は、どのように
行われるのでしょうか?
A: 株券を発行しない
株券不発行会社が発行した株式の売買は、売主・買主間
の意思表示のみにより、権利が移転します(『
論点解説 新・会社法 千問
の道標』139頁)。
株券を発行しない
株券不発行会社における株式の売買の第三者に対する
対抗要件は、株主名簿の名義の書き換えです(会社法130条1項)。
二重譲渡(二重売買)が行われた場合には、先に株主名簿に記載した
方が、権利を取得します。
株式の売買により株主になったことを会社に対して主張するためには、
株主名簿の名義の書換が必要です(会社法130条1項)。
株主名簿の名義の書換の請求は、株主名簿に記載された株主である
売り主と買い主である株式取得者との共同で、会社にします(会社法
133条)。
譲渡制限株式の場合には、買い主である株式取得者の取得につき、
株式を発行した会社の承認を得なければ、名義の書換はできません。
ただし、
譲渡制限株式を発行した会社の承認がない場合でも、売主・
買主間では、
譲渡制限株式の売買契約は、有効に成立します(『
論点解説
新・会社法 千問の道標』135頁)。
譲渡制限株式を発行した会社に対する譲渡による取得の承認の請求は、
売主・買主間での
譲渡制限株式の売買契約締結の前でも、後でも行うこと
ができます。
譲渡制限株式の売買契約締結の前であれば、売り主である株主が承認の
請求を会社にします(会社法136条)。
譲渡制限株式の売買契約締結の後であれば、売り主である株主及び
買い主である株式取得者との共同で、承認の請求を会社にします(会社法
137条)。
譲渡制限株式の売買契約が、売主・買主間で有効に成立したとしても、
譲渡制限株式を発行した会社の承認が得られない場合には、会社に
譲渡制
限株式の取得したことを主張できず、株主名簿の名義書換も請求できませ
ん。
したがって、
譲渡制限株式の売買契約の締結は、買い主が
譲渡制限株式 を取得することにつき事前に会社の承認を得て行うか、又は、条件付売買
契約になります。
条件付売買契約は、会社の承認を得られることを停止条件とするか、又
は、会社の承認を得られなかったことを解除条件とするかのどちらかにな
ります。
次のQ&Aも、ご参照下さい。
303会社設立:株券の不発行:株券不発行会社が発行した株式の
売買契約書の様式は? http://sasakijimusho.blog74.fc2.com/blog-entry-303.html
304会社設立:株券の不発行:株券不発行会社が発行した株式の
売買代金の領収書の様式は? http://sasakijimusho.blog74.fc2.com/blog-entry-304.html
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(株式の譲渡)
第百二十七条 株主は、その有する株式を譲渡することができる。
(株券発行会社の株式の譲渡)
第百二十八条 株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付し
なければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡
については、この限りでない。
2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。
(自己株式の処分に関する特則)
第百二十九条 株券発行会社は、自己株式を処分した日以後遅滞なく、当該
自己株式を取得した者に対し、株券を交付しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、同項の者から
請求がある時までは、同項の株券を交付しないことができる。
(株式の譲渡の対抗要件)
第百三十条 株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を
株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗す
ることができない。
2 株券発行会社における前項の規定の適用については、同項中「株式会社
その他の第三者」とあるのは、「株式会社」とする。
(権利の推定等)
第百三十一条 株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に
有するものと推定する。
2 株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式についての権利を取得する。
ただし、その者に悪意又は重大な過失があるときは、この限りでない。
(株主の請求によらない株主名簿記載事項の記載又は記録)
第百三十二条 株式会社は、次の各号に掲げる場合には、当該各号の株式の
株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければなら
ない。
一 株式を発行した場合
二 当該株式会社の株式を取得した場合
三 自己株式を処分した場合
(株主の請求による株主名簿記載事項の記載又は記録)
第百三十三条 株式を当該株式を発行した株式会社以外の者から取得した者
(当該株式会社を除く。以下この節において「株式取得者」という。)は、
当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、
又は記録することを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものと
して法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿
に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共
同してしなければならない。
第百三十四条 前条の規定は、株式取得者が取得した株式が譲渡制限株式で
ある場合には、適用しない。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この
限りでない。
一 当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得することについて第百三十六
条の承認を受けていること。
二 当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得したことについて第百三十七
条第一項の承認を受けていること。
三 当該株式取得者が第百四十条第四項に規定する指定買取人であること。
四 当該株式取得者が相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した
者であること。
(株主からの承認の請求)
第百三十六条 譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該
譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当
該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて
承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
(株式取得者からの承認の請求)
第百三十七条 譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該
譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを
請求することができる。
2 前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないもの
として法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名
簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と
共同してしなければならない。
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