佐々木事務所の所長の佐々木正己(ささき・まさみ)です。Q: 会社としての営業活動はいつから可能でしょうか?
A: 会社は、法律的には、
株式会社設立登記申請書を、管轄登記所に提出し
た日に成立します。
人間は、肉体という物理的存在があり、出産と同時に法人格を取得し
ます。
出生届は、報告的届出であり、戸籍に記載されなくても、法人格を有し
ます。
会社は、出産というような物理的事実が存在しませんので、登記簿に
登記されることにより、法人格を取得します。
登記簿に登記されるのは、法律上は、
株式会社設立登記申請書を、
管轄登記所に提出した日です。
法律上の明文規定はありませんが、
株式会社設立登記申請書を、
管轄登記所に提出した日付が、登記簿に、会社が成立した日として登記
されます。
商業登記法の建前が、即日処理だからだでしょう。
実際に登記が完了して、
履歴事項全部証明書を取得できるのは、登記所
内部での事務処理が完了した後となります。
会社の場合には、設立直後に、実在性を証明できる文書は、
履歴事項全部証明書(会社謄本)以外はありません。
例えば、9月23日に登記所に
設立登記申請書を提出したとし、
10月3日に
履歴事項全部証明書を取得できたとしましょう。
10月3日に取得した
履歴事項全部証明書には、会社成立の日が、
9月23日と記載されていますので、登記所に
設立登記申請書を提出した
9月23日からは、設立した会社の名義を使用して、営業活動をすること
ができます。
逆に、会社成立の日の9月23日前(9月22日以前)に、設立する
会社の名義を使用して、営業活動をすることは、違法です
(会社法979条1項)。
ただし、設立中の会社であることを明示してでの営業活動なら問題は
ないでしょう。なお、設立中の会社が当事者となって、契約の締結をする
ことはできないと考えます。
10月3日に
履歴事項全部証明書を取得するまでは、会社の実在性を
証明する物がありません。
会社の実在性を証明する物は、登記所発行の「
履歴事項全部証明書」
いわゆる登記簿謄本です。
「
履歴事項全部証明書」は、会社にとっては、個人の住民票 兼
戸籍謄本と同じ役割があります
この「
履歴事項全部証明書」がありませんと、会社名義のの銀行口座も、
開設できません。
なお、名刺・封筒などは、9月23日から会社名入りものを使用する
のは、問題ありません。
領収証も、9月23日から会社名義のものを発行してもらって問題あり
ません。
なお、次のサイトもご参照ください。
70会社設立:法人税:会社設立前の損益の計上 http://sasakijimusho.blog74.fc2.com/blog-entry-70.html
【資料1】会社法
第九百七十九条 会社の成立前に当該会社の名義を使用して事業をした者は、会社の
設立の登録免許税の額に相当する過料に処する。
【資料2】(最判昭和33年10月24日民集12巻14号3228頁)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/2B26F3509C8571F249256A85003163A2.pdf
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人竹沢哲夫の上告理由について。
原審の確定した事実によれば、要するに、上告人らは、かねて東洋整練株式
会社の設立を計画発起し、昭和三〇年九月一二日に至りその設立登記を了した
ものであるが、上告人は、昭和三〇年三月、未だその設立手続未了で設立の
登記をしていない右会社の代表取締役として、被上告人との間に本件契約を
締結したというのである。而して、原審判示の本件契約は、
会社の設立に関する行為といえないから、その効果は、設立後の会社に当然
帰属すべきいわれはなく、結局、右契約は上告人が無権代理人としてなした
行為に類似するものというべきである。尤も、民法一一七条は、元来は実在す
る他人の代理人として契約した場合の規定であつて、本件の如く未だ存在しな
い会社の代表者として契約した上告人は、本来の無権代理人には当らないけれ
ども、同条はもつぱら、代理人であると信じてこれと契約した相手方を保護す
る趣旨に出たものであるから、これと類似の関係にある本件契約についても、
同条の類推適用により、前記会社の代表者として契約した上告人がその責に
任ずべきものと解するを相当とする。それ故、右と同趣旨に出た原判決は正当
であつて、論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文
のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
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